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UMich Covid History Translation

Neural machine translation plus human refinements by Jungo Kasai, Koji Shiono, and Noriyuki Kojima.

本文はミシガン大学医学史センターによる「どうやって、感染拡大の第2波を防ぐ?感染拡大の平坦化のその後」(原題:With the COVID-19 Curve Flattening, It’s Time to Prevent a Second Peak)を、翻訳したものであり、著者の意見、主張を反映するものではないことをここに明記します。また、いくつかの情報は現状を反映していない可能性があります。最新の発表、及びお住まいの地方自治体のガイドラインもご参照ください。

歴史は語る。パンデミックにおける早すぎる行動制限解除は危険だ。

「感染拡大を平坦化する」 (原文: flatten the curve、英語メディアでは連日繰り返し使われている標語) という言葉の生みの親の一人は、ミシガン大学医学史センターのハワード・マーケル医学博士だ。彼は、いくつかの国やアメリカの州や都市がここ数週間でコロナウイルスに上手に対応している事に感銘を受けている。

可能な限り多くの人を自宅で待機させる事で、COVID-19の重症例の数は、ほとんどの地域で病院が処理できる数を下回るか、少し上回る程度になっていると、マーケル氏は言う。

そうした取り組みは、間違いなく多くの命を救っている。また、研究者が治療法を模索したり、ワクチンを開発したりするための時間を稼ぎ、公衆衛生機関や病院が検査や治療の能力を高めるための時間も稼いでいる。

しかし今、マーケル氏は感染対策の成功例とも言えるいくつかの場所で、その努力が水泡に帰してしまうのではないかと心配している。

「感染拡大の平坦化」の兆候を、人々の行動制限を緩和するための合図として受け止めれば、新型コロナウイルスの症例の拡大は平坦化されていない曲線と同じくらい、あるいはそれ以上に悪いものになってしまうかもしれない。

マーケル氏は、新型コロナウイルスの2次的な流行が気にかかっていると言う。

あまりにも早く、「ソーシャルディスタンス、社会的距離」の措置を緩和することは、新型コロナウイルスが再び広く流行するきっかけになる可能性がある、とマーケル氏は言う。重篤な症例や死亡者が再び急増し、これまでの行動制限などの措置を無駄にしてしまう可能性がある。

過去の教訓

マーケル氏と彼の同僚は、学校や事業所の閉鎖のような医薬品以外の手段が、米国の数十の都市における過剰死亡率にどのような影響を与えたかについては1918年と1919年のインフルエンザの大流行(スペイン風邪)を例にとって詳細な研究を通して示した。

2020年の世界は第一次世界大戦の時代とは大きく異なっているにもかかわらず、マーケル氏は、当時に起こったことと同じことが今日でも起こりうると見ているし、彼が研究してきた他の病気でも同じような傾向が見られたと言う。

「全てのパンデミックでは、綱引きの様なものです。一方では経済的利害があり、もう一方では国民の健康があります」と同氏は言う。「市民が落ち着きを失い、行動制限の解除が遅すぎると指導者に抗議すると、必ずと言っていいほど感染者が増加することは歴史的にも知られています。ある場所では、最初のピーク時よりも行動制限解除後の方が感染状況が悪化していたほどです。」

「この様な状況が起きれば、あなたが自宅待機と家計の危機に長い間耐えた事は何も意味をなさなくなります。」とマーケル氏は言う。

「経済の為に」と虚しく響く声

100年前、ミシガン大学医学部の学部長ビクター・ヴォーン氏は、陸軍医務隊と一緒にインフルエンザの流行に対処するためにボストンを訪れた際に「薪のように積み上げられた死体」とその状況を描写した。

最近ニューヨークやデトロイトで撮影された、病院の廊下に並ぶ死体袋や、冷蔵トラックに積まれた死体袋の画像は、ヴォーン氏が見たものを現代に彷彿させる。

しかし同時に、ミシガン州や他の州では、事件や死者の数が横ばい、あるいは減少し始めているように見える今、経済活動の再開を求める声や、自宅待機の措置に抗議する声さえ耳にする。

企業や学校、公共の場を今すぐ再開するための経済的な主張をしている人たちは、1918年と1919年にメディアで多く見られた大衆感情を想起させる、とマーケル氏は指摘する。

しかし、今日のビジネス界の一部の人々は、100年前のパンデミックのもう一つの重要な教訓に注目していると彼は見ている。それは、市民を公共空間から遠ざけた都市は、長期的に見て経済的に優れているということである。

100年前と今の違い

1918年のパンデミックに対処するのと、今のパンデミックに対処するのとでは、最大の違いは何か?間違いなく、第一次世界大戦の世代が想像していたよりもはるかに速い進歩を遂げたのは、現代医学の力だ。しかし、その進歩の速度は、人々の医学に対する過剰な期待を煽る結果となっているのかもしれない。

もう一つの違いとしては、がん、心臓病、肺病、その他の疾患を患っている多くの人々は、1918年時点で発症していたら、間違いなくすでに死んでいたであろう。こうした人々は、現代医学の力で生き延びている。しかし現在、こうした人々はウイルスに感染すると死亡する危険性が最も高くなっている集団でもある。

マーケル氏はまた、テクノロジーによって可能になったもう一つの違いについても指摘していいる。それは、多くの人々が、自宅で仕事の一部を継続して行うことができるという事実だ。また、政府機関は、個人や企業の救済策に関する情報を、直接人間の接触なしに、迅速に入手することができる。

これは、政府が、現在の新型コロナウイルスの流行から最も苦節を味わっている人々が支援を受けられるように努力することが非常に重要だという事を意味している。

「感染症、疫学、パンデミック対策の専門家の意見に耳を傾け、彼らのリードに従わなければ、私たちは皆、このウイルスの拡散に貢献することになるでしょう。」とマーケル氏は言う。「医学史研究家として、自分の生きる時代が研究対象になってしまう事は耐えられません。」

日常生活に戻る為には?

では、人々の行動規制を緩めることが安全になるのはいつなのか?これまで長い時間をかけて平らにしてきた感染拡大のカーブが遥か下の方まで行くのを待つ必要があるだろう、とマーケル氏は言う。

すべての都市、州、国の既知の症例の流行曲線には「転換点」、つまりマーケル氏が「変曲点」と呼ぶものがあり、ウイルスが非常に多くの人の間で循環し、その広がりを封じ込めることがもはや不可能になったところから感染拡大のカーブが上に向かう途中である。

そして、ピークの反対側には、ケースが積み重なるのを止め、流行が静かになる脱屈折ポイントがいずれある。

下降の変曲点を正確に特定することは不可能であり、特に広範なテストが行われていない場合には、予測が不正確なものになるかもしれないとマーケル氏は注意を促している。

しかし、新型コロナウイルスの症状のある人全員を検査し、発病直前に接触した人全員を特定して監視する「接触者追跡」を行う能力は、通常の状態に戻るプロセスに不可欠だ。また、基礎疾患やその他の要因でリスクが高い人に対しても、慎重なアプローチが必要である。そしてもちろん、効果的な治療法やワクチンの開発も必要である。

「私に言わせれば、私は常に国民の健康を守る側にいます。」とマーケル氏は言う。「そしてそれは、このパンデミックの最前線にいる、あるいはその近くにいる医療関係者の誰もがそうだと思います。より多くの死を防ぎ、より多くの時間を稼ぐ必要があります。後悔先に立たずといういう訳です。」